電動歯ブラシの効果や正しい使い方を解説

電動歯ブラシは手用歯ブラシでは取りづらいプラークを効率的に取り除いてくれるため、ブラッシング時間が短縮できてとても便利です。

しかし、電動歯ブラシは万能なわけではなく、使い方によっては手用歯磨きよりも磨き残しが多くなることもあり、歯や歯肉にダメージを与えてしまうことさえあります。

そこで、この記事では、電動歯ブラシの効果が発揮される正しい使い方と注意点について詳しく解説します。

この記事の結論

・電動歯ブラシには4種類あり、それぞれで効果が異なる
・電動歯ブラシを利用すると効果的な口腔ケアが可能
・効果的に使うには、正しく使う必要がある

電動歯ブラシの効果は種類で異なる

電動歯ブラシは以下4種類があり、それぞれ効果は異なります。

  • 振動式電動歯ブラシ
  • 回転式電動歯ブラシ
  • 音波式電動歯ブラシ
  • 超音波式電動歯ブラシ

一つずつ解説していきます。

振動式の効果

振動式電動歯ブラシは、毎分2,000~10,000回の往復運動を行います。音波式や超音波式に比べると振動数が低めですが、適切に使えば手用歯ブラシより効率的に歯の汚れを落とせます。

手用歯ブラシと同じような形状の細長のブラシが高速振動するので、歯ブラシを当てにくい箇所を磨くには適しています。

毛先が歯に直接触れることで汚れを落とすというメカニズムなので、歯ブラシの当て方や圧を間違えると歯や歯肉にダメージを与える可能性が高いため注意は必要です。

乾電池式で安価なものは替ブラシが無くパワーが弱いものも多いですが、手頃なので気軽に取り入れやすいです。

回転式の効果

回転式電動歯ブラシは、歯ブラシの形状が丸く回転するタイプでプラークの除去力が強いのが特徴です。その半面、ブラシのヘッドがやや大きめで音波振動式と比べると歯肉への刺激が強めなので、ブラシの当て方には特に注意が必要です。

普通の形の歯ブラシでは届きにくい歯の裏側や歯と歯肉の境目、奥歯に良く毛先が届くので歯並びが悪い方に向いています。

音波式の効果

音波式電動歯ブラシは、毛先を直接歯に当てて汚れを落とすと同時に毎分30,000〜50,000回ほどの振動で高速水流や細かい気泡を発生させます。そのため、毛先から2〜3mm離れた範囲のプラークも除去する効果があります。

音波による振動は微弱で刺激が少ないため、歯周病で歯肉が弱くなっている方や歯の動揺がみられる方も使用できます。

一方で、手用歯磨きに比べると圧が掛かっているかどうかが分かりにくいので、歯ブラシを押し当て過ぎてしまう可能性があります。過剰に圧が加わり続けると歯肉を傷付けたり、歯肉退縮(歯肉が下がる)を起こしたりするので注意してください。

ヘッドが小さめなものが多く、口の小さい方や顎関節症などで顎を大きく開けられない方でも使いやすいです。

超音波式の効果

超音波式電動歯ブラシは、音波式より振動数が多く毎分100万〜150万回ほどの振動で動きます。超音波振動で細菌同士の連鎖を断ち切ることでプラークを付きにくく、剥がしやすいのが特徴です。

プラークの成分である不溶性グルカン(虫歯菌が作り出す非常に粘着性が高い物質)も破壊することができます。

音波式よりも歯肉の深い部分のプラークを落とし、骨や歯肉の細胞を活性化する効果があるため歯周病の改善に特に効果的ですが、一部の電動歯ブラシでのみ採用されている駆動方式のため選択肢はあまり多くないです。

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電動歯ブラシと手磨きはどちらでもよい|正しい磨き方と選び方
電動歯ブラシの効果|ヤニの除去やホワイトニングに効果的な使い方を紹介

電動歯ブラシのメリット

電動歯ブラシは、以下のメリットがあります。

  • 効率よく歯磨きができる
  • 誰でも効果的に歯を磨ける

一つずつ解説します。

効率よく歯磨きができる

電動歯ブラシを利用すると、手磨きに比べて効率よく歯を磨くことができます。電動歯ブラシは安定した高速振動を実現しているため、適切に使用することで歯垢除去力が向上するのです。

誰でも効果的に歯を磨ける

電動歯ブラシを利用すると、年齢に関係なく誰でも効果的に歯を磨くことができます。子どもや高齢者、身体に障害のある方の口腔ケアにも有効です。

ただし、磨き残しや歯肉などへのダメージが無いかチェックしてあげるようにしましょう。

【関連記事】
電動歯ブラシ4つのメリットを徹底解説|電動歯ブラシの種類も解説

電動歯ブラシのデメリット

電動歯ブラシのデメリット

電動歯ブラシは、以下のようなデメリットがあります。

  • 種類や価格帯が幅広く選びにくい
  • ヘッドのサイズや硬さをあまり選べない
  • 歯や歯肉にダメージを与える可能性がある

詳しく解説していきます。

種類や価格帯が幅広く選びにくい

電動歯ブラシは販売されている種類が非常に多く、値段も幅広いため選びにくいというデメリットがあります。実際に使用してみないと振動の強さなどは分からないのでどれを選んだら良いか迷ってしまいます。

振動を不快に感じる場合もあるため、家電量販店などで電源を入れた状態で腕の内側にブラシを当ててみるなどして直接手にしたときの感覚を参考にして選ぶようにしてください。

【関連記事】
電動歯ブラシは高い安いでは選んではいけない|選び方や違いを解説

ヘッドのサイズや硬さをあまり選べない

電動歯ブラシのヘッドはサイズや硬さの種類が多くありません。手用歯ブラシに比べると、個々の口の中の状況や好みに合わせにくいです。

歯や歯肉にダメージを与える可能性がある

電動歯ブラシはブラシの当て方や動かし方が適切でないと、汚れを落としきれなかったり歯や歯肉を傷付けたりする可能性があります。

歯磨きの基礎ができていなければ効果を発揮できないと言えます。

【関連記事】
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電動歯ブラシのデメリットを徹底解説!主な電動歯ブラシのメリット・デメリットもご紹介

電動歯ブラシの効果的な使い方

電動歯ブラシを使いこなすためには、まず手用歯磨きがきちんとできている必要があります。磨き方の基本ができていなければ、どんなに高性能な歯ブラシを使っても十分な効果が得られません。

使い方を誤ると歯や歯肉を傷めてしまうこともあるため注意しましょう。

歯科医院で歯磨き指導を受けたことが無い方は、正しい磨き方を指導してもらうと自分の磨き方の癖も分かるのでより効果的に磨く方法を学べます。

電動だからといって、歯磨き自体が雑になってしまっては逆効果です。電動歯ブラシに頼りきりにならず丁寧なブラッシングで清潔な口腔内を保ちましょう。

歯ブラシの当て方のポイント

電動歯ブラシで歯を磨く4つのポイントを解説します。

歯ブラシの当て方のポイント

  • 1.スイッチは口に入れてからON
  • 2.歯に当てる角度は部位によって変える
  • 3.ゆっくり横に移動させる
  • 4.補助器具も一緒に使用する

1.スイッチは口に入れてからON

電動歯ブラシが歯にぶつかったり歯磨き剤が飛び散ったりするのを防ぐため、口の中に入れてからスイッチを入れてください。

電動歯ブラシはパワーがあるので軽く当てる程度で充分です。ブラシを強く押し付けると毛先が広がり、歯肉や口中の粘膜を傷付ける原因になる恐れがあるので注意してください。

2.歯に当てる角度は部位によって変える

電動歯ブラシは、噛み合わせの面と側面は歯に対して90度に当てるようにしてください。歯と歯肉の間を磨く際は45度に傾けて当てると効果的に汚れを落とせて歯肉のマッサージにもなるので、歯周病対策にも効果的です。

前歯の裏側は歯ブラシを横に入れづらいため、縦にして1本ずつ磨いてください。

3.ゆっくり横に移動させる

基本的に、電動歯ブラシを横にゴシゴシと動かす必要はありません。歯ブラシ自体が振動しているので当てているだけで十分です。

毛先を1箇所につき10秒程度当てて少しずつ横に移動していき、全顎で2分程度磨くようにしてください。回転式のものは歯を1本ずつブラシで包むように当てて磨きます。

外側の右上奥歯→上の前歯→左上奥歯→左下奥歯→下前歯→右下奥歯という風に一筆書きをイメージしてブラシを順番に当てるようにしましょう。

歯の内側、噛み合わせの面も同様に右からへ左へと移動させて満遍なくブラシを当てるよう意識してください。

4.補助器具も一緒に使用する

歯間は電動ブラシであっても完全に汚れを取り去るのは不可能です。デンタルフロス(糸ようじ)や歯間ブラシなどの補助清掃用具も併用して磨くように心掛けましょう。

手入れの仕方

水ですすぎ、そのあとしっかり乾燥させることが基本です。プラークや食べカスが付着したままだと雑菌やカビが繁殖しやすくなるので、ブラシを常に清潔な状態に保つことが大切です。食器用中性洗剤で清掃するとより清潔に保てます。

ブラシヘッドと本体の継ぎ目部分にゴミや汚れが溜まると、接触不良を起こして故障の原因になる可能性もあるので、ブラシヘッドと本体の継ぎ目や本体の汚れも綺麗にしておくようにしてください。

本体にイオンパネルが付いたタイプの電動歯ブラシはその部分も忘れず清掃しましょう。
特に、本体を家族で共有する場合は衛生面には注意を払ってください。

ただし、熱湯消毒は変形することもあるので避けたほうが良いでしょう。
詳しい取り扱いは必ず付属の説明書に従ってください。

ブラシを変えるタイミング

電動歯ブラシのブラシ部分の交換時期は、メーカーや機種によって異なりますが、毛先の消耗や衛生的な面で考えると2〜3ヶ月に一度を目安に交換することをおすすめします。

また、ブラシの毛先が開いてきた場合や変色してきた場合には3ヶ月未満でも交換しましょう。毛先があまりにも早く開くようであれば、ブラッシング圧が強すぎていないか一度確認してください。

【関連記事】
電動歯ブラシの替えブラシの特徴は?種類や選び方を解説

電動歯ブラシにも歯磨き粉を使うと効果的

電動歯ブラシにも歯磨き粉を使うと効果的

電動歯ブラシだけでも歯の汚れを落とす効果があるので、歯磨き粉は使用しなくても良いという考え方もあります。

しかし、歯磨き粉には虫歯や歯周病予防などの薬用成分が配合されているので、歯や歯肉をより健康に保つには利用した方がプラスになります。

ただ、歯磨き粉の中には電動歯ブラシには向いていないものも多くあるので、電動歯ブラシに適した歯磨き粉選びのポイントを押さえて、安全かつ有効に歯磨き粉を使用しましょう。

研磨剤が含まれていないもの

多くの歯磨き粉には歯の汚れや着色を落としやすくする目的で「研磨剤」が含まれていますが、電動歯ブラシは細かく速い振動で歯の表面を磨いているため研磨剤が入っていると磨き過ぎて歯の表面が削られてしまいます。

歯の表面が削られてしまうと、歯の着色を助長したり知覚過敏になったりする可能性が高まるため、研磨剤が含まれている歯磨き粉は使用しないでください。

研磨剤(清掃剤)として使用されている成分

  • リン酸水素カルシウム
  • 水酸化アルミニウム
  • 無水ケイ酸
  • 炭酸カルシウム
  • 二酸化ケイ素(シリカ)      など

発泡剤の含まれていないもの

  1. 磨いている最中に周りに歯磨き粉が飛び散りやすい
  2. 口の中が泡だらけになりやすく、磨きにくい上に磨き残しを増やしてしまう

理由は2つあり、特に「ラウリル硫酸ナトリウム」という物質は、口の中の粘膜を保護するムチンの働きを弱めてしまうので、速い振動で歯肉を傷付ける可能性の高い電動歯ブラシを使用する際には避けた方が安心です。

発泡剤として使用されている成分

  • ラウリル硫酸ナトリウム
  • ラウロイルサルコシンソーダ
  • ショ糖脂肪酸エステル
  • アルキルグリコシド
  • 石ケン素地      など

薬用成分の効果

含まれる成分により、炎症の抑制歯質の強化歯面清掃の効率をアップします。

  • 虫歯予防ならフッ素配合のもの
  • 歯周病予防なら殺菌成分配合のもの
  • 知覚過敏には歯のコーティング成分配合のもの
  • 着色には着色を浮き上がらせるタイプのホワイトニング成分配合のもの

詳しい薬用成分表

虫歯予防 トラネキサム酸・フッ化ナトリウム・モノフルオロリン酸ナトリウム・フッ化第一スズ など
歯周病予防 プシロンアミノカプロン酸・β‐グリチルレチン酸・トリクロサン など
知覚過敏 乳酸アルミニウム・硝酸カリウム など
着色 ポリエチレングリコール(タバコのヤニ用)・ポリリン酸ナトリウム・ピロリン酸ナトリウム など

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歯医者は電動歯ブラシを使わない?理由や電動歯ブラシや歯磨き粉を選ぶポイントを解説

電動歯ブラシの注意点

電動歯ブラシの注意点

電動歯ブラシを使用する際の注意点は6点です。使用する前に必ず確認しておきましょう。

体内埋め込み型電子機器を使用中の方は使えない

電動歯ブラシは動作時に少なからず「電磁波」が出ます。そのため、音波式、超音波式電動歯ブラシは、ペースメーカーなど体内埋め込み型医療電子機器を使用している方には禁忌とされています。

ブラッシング圧をかけ過ぎない

電動歯ブラシを利用する際は、ブラッシング圧のかけ過ぎに注意しましょう。癖でブラッシング圧が強くなる方は、あまり大きくブラシを動かさず手で支える程度にして1歯ずつなぞるように使用すると圧の掛け過ぎを防げます。

研磨剤が含まれる歯磨き粉を使用しない

電動歯ブラシを利用する際は、研磨剤が含まれる歯磨き粉を使用しないでください。研磨剤を使用すると、歯面や歯肉を傷つける可能性があります。

子どもが使う場合は見守る

歯磨きの基本ができている子どもであれば、電動歯ブラシを使用することは虫歯などのトラブル予防に効果的です。

子ども用の電動歯ブラシが販売されているので、対象年齢などを参考に子どもに合った製品を選び、慣れるまでは必ず見守りながら正しい使い方ができているかチェックをしてください。必要であれば仕上げ磨きをするなどのサポートも行いましょう。

また、園や学校の昼食後や災害時などでは電動歯ブラシを使用できないこともあるので、手用歯磨きもできるようにしておくことも大切です。
朝は電動歯ブラシ、夜は手用歯磨きをするなどのルールを作るのもおすすめです。

高齢者の使用は歯科医師と相談する

高齢になると歯と歯の隙間が広くなったり歯根が露出したりするので、電動歯ブラシを使い始める際はかかりつけの歯科医院で指導してもらうことをおすすめします。

身体の不自由な方は使いやすさを重視する

身体が不自由で細かな口腔ケアが難しい方にも効果的で、介助者が使うことによって負担の軽減にも繋がります。

本体が軽めでコンパクトなものやグリップが太めで握りやすいものを選ぶなど、個々に合わせて負担が少なく口腔ケアができるように上手く電動歯ブラシを取り入れてみてください。

まとめ

電動歯ブラシは正しく使用して初めて効果を期待できるものです。特徴を理解した上で適切な口腔ケア用品(デンタルフロス、歯間ブラシ、歯磨きジェルなど)を併用することも忘れないでください。

どんなタイプの電動歯ブラシでも、機能を最大限に活かせるように丁寧なブラッシングを心掛けましょう。

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