マウスピース矯正hanaloveと今後の展望について|hanalove井上社長とSmile teeth山本のスペシャル対談

今回は、オーダーメイドのマウスピース矯正「hanalove(はならぶ)」を提供しているDeltan株式会社 代表取締役 井上佳洋氏(以下、井上社長)と、Smile Teethを運営するデンタルネットワーク株式会社 代表取締役であり歯科医師の山本伸彦(以下、Smile Teeth 山本)がマウスピース矯正hanalove誕生のきっかけや今後の展望などについて語り合いました。

hanaloveを立ち上げたきっかけは自身の矯正経験

Smile teeth 山本

こんにちは!今回は、Deltan株式会社の井上社長にお越しいただきました。よろしくお願いいたします!

早速ですが、hanaloveを立ち上げることになったきっかけ、開発のストーリー、日本導入の経緯などを伺いたいと思います。

井上社長

よろしくお願いいたします!

hanaloveを立ち上げることになったきっかけは、僕自身がマウスピース矯正をして失敗したことです。

治療が進んでいくなかで噛み合わせがおかしいなって感じるタイミングがあって、当時診てもらっていたドクターに相談したら、いきなり「返金しましょうか」と言われたんです。

Smile teeth 山本

事情や状況の説明もなく、いきなりですか?

井上社長

はい、いきなりです。

驚いてしまって「もう大丈夫です」って言って帰ってきたんですが、なぜ噛み合わせがおかしくなったと感じたのか気になったので、自分でドクターが読むような矯正の本を買って読んでみることにしました。

そうしたら、受けている治療のレベルが低いっていうことに気づいたんです。

僕がやっていた矯正は、いわゆる「安い費用で矯正できる」というマウスピース矯正で、歯を唇側あるいは、外側に傾斜させて前歯だけ動かすような治療をしていました。

Smile teeth 山本

IPR(※1)や奥歯を後ろに動かすような処置はしなかったんですか?

※1 歯の健康や寿命に影響のない範囲で歯と歯の間を研磨して、スペースを作る処置。

井上社長

しなかったんです。当時はそのような処置があることも知りませんでした。

僕は出っ歯で噛み合わせが深いタイプだったので、アタッチメントはもちろん、IPRや抜歯などの処置、奥歯を後ろに動かす歯の移動などが必要だったと思うんですが、それが適切に行われていませんでした。

失敗して自分で調べてみて初めて、診査・診断がしっかりされていなかったことや、僕の歯並びに対して適切な治療が行われていなかったことに気づきました。

適切な治療ができないマウスピース矯正が世の中に広がって、僕と同じような体験をして欲しくない。

だから、ちゃんと治療ができるマウスピース矯正を提供したいと思ったんです。

hanaloveの開発ストーリー

Smile teeth 山本

井上社長がhanaloveを立ち上げる前は、Yahoo! JAPANでマーケティングやセールスプロモーションをされていたんですよね?

井上社長

はい。おかげさまで着実に成果を出して、その後、スマホ決済のPayPayをゼロから立ち上げました。

立ち上げのためにインドに行ってディスカッションしたり、全国数十拠点・数千人の営業部隊の立ち上げ、システム開発とそのディレクション、大規模マーケティングなど、本当に色々なことをやり、すごく成長させてもらいました。

事業をゼロから立ち上げる楽しさをもう一度感じたいと考え、起業して、hanaloveを立ち上げることにしました。

Smile teeth 山本

でも簡単にできるものではないですよね、矯正は。

井上社長

おっしゃる通りです。まずは歯科医師や歯科技工士、メーカーやディーラーさんなど、日本歯科業界の方との人脈づくりから始めました。

当時、マウスピース矯正のビジネスを立ち上げようとしている技工所がいっぱいあったんですよ。

ありがたいことに、うちの技工所と一緒にやろうよって話もたくさんいただきました。

ただ、しっかりと歯並びを治せるマウスピース矯正を提供したいと思ったら、歯科医師の協力が大事ですし、そのシステムでちゃんと治療できた実績が無いものを患者様に提供することはできない。

かと言って、矯正治療の検証には長い時間が必要なので、作ったシステムできちんと歯並びを治せるか確認するまでには、時間がかかり過ぎます。

システムを検証せず、結果が出せるか分からない状態で世の中に広めるのはダメだと思っていたので、すでに実績があって市場ができているアメリカのサービスと日本で独占契約をすることにしました。

Smile teeth 山本

hanaloveで使われているマウスピース矯正のシステムは、すでにアメリカで確立されていたものなんですね?

井上社長

そうです。歯の移動方法はもちろん、IPRやアタッチメント付与、顎間ゴムなど治療法として確立されています。

全顎の矯正ができるサービスです。

hanaloveの特徴

Smile teeth 山本

hanaloveがほかのマウスピース矯正と違う点があれば、教えていただきたいです。

井上社長

hanaloveがほかのマウスピース矯正と違う点は、大きく分けて3つあります。

ひとつは、アジア人に特化したサービスを提供していること、あとは、2種類のマウスピースを使用することで痛みを抑えて快適に治療できることと、マウスピース装着のモチベートをするためのオンラインの活用です。

①アジア人に特化したサービスを提供

井上社長

アジア人って、欧米人と比べて歯槽骨が薄くて歯根が短かったり、顎骨が小さかったりします。

hanaloveはそこを踏まえて、アジア人に特化した治療を提供していることが一番の違いです。

他のメーカーのシステムだと、ほとんどの治療計画が欧米人を基準に作られていたりするで、日本のドクターはアジア人の特徴を考慮して、無理のない治療計画に変更する必要があるのですが、hanaloveはそれを標準で提供しています。

日本のドクターの負担が少なくなるよう、治療計画を提示できるようになっているんです。

②2種類のマウスピースを交互に使用することで快適に歯を移動させる

井上社長

2つ目の特徴は、柔らかいマウスピースと硬いマウスピースを交互に使用することで、痛みを抑えて快適に歯を移動できることです

また、患者さんは同じマウスピースを着ける必要がなくなるので、かなり衛生的にマウスピースを使用できるという利点もあります。

Smile teeth 山本

柔らかいマウスピースと硬いマウスピースは、どのくらいのペースで交換するんですか?

井上社長

柔らかいのが3日、硬いのが4日で交換になります。

マウスピース矯正の課題は、計画通り歯牙が動かないことだと思うんですけど、この方法だとマウスピースの矯正力が弱くなる前に新しいマウスピースに交換するため、早く歯を動かすことができます。

Smile teeth 山本

早いペースで歯を動かせるんですね!

そうすると、通院頻度はどのくらいになるんですか?

井上社長

通院の頻度は患者様の状態に合わせてドクターが判断するんですが、平均すると大体2~3ヶ月に1回です。

難しい歯の動かし方をしている場合は、もっと短いスパンで通院してもらうこともあります。

③LINEを活用してマウスピース矯正のお困りごとをサポート

Smile teeth 山本

マウスピース矯正は、マウスピースの装着時間の管理が大変ですよね。生活の中で1日20時間以上装着できないことがあるのも仕方ないと思うのですが…

井上社長

そうですね。その点に関しては、僕らは患者さんとLINEで相談できる窓口を持っているので、マウスピースを失くしたとか、装着できない事情があったら連絡してくださいという話をしています。

何の管理もなしにちゃんとマウスピースを装着するのは、ロボットじゃないので難しいと思うんですね。

そのため、LINEを使って患者さんをモチベートして、何か問題があれば提携ドクターとすぐに解決策を考えられる体制をとっています。

小児矯正の重要性と経営者としての思い

Smile teeth 山本

矯正の難症例のひとつに、歯並びや噛み合わせが悪いだけでなく、顔面まで変形してしまう「顎変形症」があると思うんですが、これって大人になってから治そうとすると外科矯正しか手段がないじゃないですか。

ただ、顎変形症は子供のうちに変化に気づくことができれば、ある程度コントロールできる場合もありますよね。

そうすると、今後は小児矯正も重要になってくると思うのですが、これについてはどう思いますか?

井上社長

実は、マウスピースで子ども向けソリューションを作れないかと、今まさに検討しているところです。

ただ、成長を踏まえてってなると、しっかりとした診査・診断が必要だと思ってますし、僕自身がもっとちゃんと理解しないうちは提供できないと思っています。

あとは、小さい子どもがちゃんとマウスピースを着けるのは難しいと思っているので、その辺の課題を解決することとセットで考えてますね。

Smile teeth 山本

ただ、ぶっちゃけていうと、経営者が詳しくなくても運営はできてしまいますよね?

井上社長

そうだと思うんですけど、ビジネスじゃなく医療じゃないですか。

もちろん会社なので利益の追求はするんですけど、ビジネスを広げるために悪魔に魂を売るようなことは僕にはできなくて。

僕がちゃんと理解できてないものは提供しないってことは考えてますね。

Smile teeth 山本

正しいビジネスだと思います。

人の身体なので、いろんな問題が起きる可能性があることを経営者が知ってるって、すごく重要ですよね。

井上社長

そうですね。歯を動かすというのは様々なリスクがあるため、それを踏まえてサービスを提供していくことが重要だと考えています。ちょうど顎変形症のお話があったのでお話すると、監修は順天堂大学口腔外科の医局長をされている梅山先生にお願いしているんですけど、先生は顎変形症の専門なんですよ。

顎変形症と矯正ってすごく連携して治療することが多いので、梅山先生は矯正もかなり詳しいんですよね

マウスピース矯正の今後の展望

Smile teeth 山本

井上社長は、今後のマウスピース矯正についての展望はありますか?

井上社長

そうですね。他社のサービスを悪く言いたくないっていうのが正直あるんですけど、このままだと日本でのマウスピース矯正が「きちんと治らない矯正」みたいなイメージになってしまうのがすごくもったいないと思っていて。

競合がどうかというよりは、僕たちが患者さんと向き合ってきちんと治療することで、マウスピース矯正がきちんと歯並びを治せる矯正装置だと認識してもらえるようにすることが大切だと思っています。

hanaloveが矯正治療を考えている方に伝えたいこと

Smile teeth 山本

患者さんにhanaloveから伝えたいことはありますか?

井上社長

矯正って、ほとんどの人が見た目を整えるためにしたいという人が多いと思うんです。

ただ、ほとんどの人は矯正してもしなくても十分素敵だと思っているので、僕はやらなくてもいいものだと思っています。

それでも矯正したいって思う人は、何件もクリニックに話を聞きに行って、マウスピースやワイヤーの手段にこだわらず、しっかりとした矯正治療が受けられる歯科医院で矯正してほしいと思います。

患者さんがいい治療を受けるためには、どの矯正器具やサービスを使うかは一切関係ありません。

一番大事なのは、信頼できると思うドクターに治療してもらうことです。

歯科医院を選ぶときは、これを意識して選んだ方がいいというのが僕の意見です。そして、僕らの提携しているクリニックがそのなかのひとつだったら嬉しいなと思う次第です。

矯正治療だけではなく、虫歯や歯周病治療など、信頼できるドクター選びは難しいと思うので、僕に相談してください!紹介します!

Smile teeth 山本

hanaloveは、ほんとうに本格的な矯正を提供することをきちんと考えてらっしゃるんですね。ありがとうございました!

井上社長

ありがとうございました!