マウスピース矯正Zenyum創業の契機と今後の展望|ゼニュムCEOジュリアン氏とZenyum日本法人CEO 伊藤社長、Smile teeth山本のスペシャル対談

今回は、シンガポール発マウスピース矯正「Zenyum(ゼニュム)」創業者Julian Artope氏(以下、ジュリアン氏)と、Zenyum日本法人のCEO 伊藤祐氏(以下、伊藤社長)、Smile Teethを運営するデンタルネットワーク株式会社 代表取締役であり歯科医師の山本伸彦(以下、Smile Teeth 山本)が、Zenyumを始めた経緯や今後の展望などについて対談しました。

ゼニュムのビジネスを通して人々を笑顔にしたい

ゼニュムのコンセプトは、Make Asia Smile More(メイクアジア・スマイルモア)

Smile teeth 山本
本日はよろしくお願いいたします。ジュリアンさんのご出身はどちらですか?

ジュリアン氏

出身はドイツです。ドイツを離れてもう18年になります。

伊藤社長

彼のご兄弟も有名な起業家なんですよ。

Smile teeth 山本

そうなんですね!それではまず、ゼニュムのコンセプト「Make Asia Smile More(メイクアジア・スマイルモア)」について、お伺いできればと思います。

ジュリアン氏

ゼニュムを通して、人々に笑顔を届けたいという思いがあります。矯正治療で人々に自信を持てる笑顔を届けることは、社会的意義があるビジネスだと考えています。

創業者は最初にお金儲けを考えることもありますが、やりたいことができれば長続きすると考えました。何をすべきか突き詰めて考えているとききにマウスピース矯正のテクノロジーに出会い、「Make Asia Smile More(メイクアジア・スマイルモア)」という言葉が浮かんできて、これこそ私がやっていけるビジネスだと思ったんです。

また、ドイツ人はあまり笑わないなどとも言われますが、私はドイツの外で暮らして長いので、人とのつながりや笑顔の重要さを学んだということもありますね。

伊藤社長

僕たちは社内のコミュニケーションでも、「率直に、かつ明るく快活に笑顔でやりましょう!」ということを大切にしています。

顧客だけでなく社内やパートナーの歯科医院などとの人間関係も大切にしているのが、ゼニュムの特長であり、コンセプトにつながるところでもあります。

Smile teeth 山本

では、どのような経緯で今の形のゼニュムになっていったのでしょうか?

ジュリアン氏

私は0から1を作り出す発明は苦手ですが、すでにあるものの価値を最大化することはできると思っています。

今あるテクノロジーを使った治療は他社で行われていますが、顧客のためには、カスタマージャーニー全体を考えて価格比較を行ったり、治療計画を明確化したりなど、すべてにおいて透明性を持たせることが必要です。その考えから価値の最大化を試した結果、現在に至っていて、さらにそこが評価されていると考えています。

INSEAD時代の知人がきっかけとなりマウスピース矯正に興味を持った

MBAを1年で取れるため、シンガポールのINSEADを選んだ

Smile teeth 山本

ゼニュムを創業したきっかけについて、お伺いします。

ジュリアン氏

もともと私の家族は起業家一家で、父は社長、3人の兄達もユニコーン企業(※)を起業しました。自分もいつかは負けない起業家になりたいと思い、スタートアップ企業で学び続けていました。

妻と一緒にMBAを取りたいと思いましたが、アメリカのMBAは2年かかってしまう。そんなに時間がないので、1年でMBAが取れるシンガポールのINSEADを選びました。

※ユニコーン企業:企業価値が1,000億円以上あるベンチャー企業
※INSEAD (インシアード):シンガポール、フランスなどにありMBAプログラムを置くビジネススクール

知人の矯正医の話を聞き、マウスピース矯正に興味を持った

Smile teeth 山本

インシアード在学中に、ゼニュムを起業したんですか?

ジュリアン氏

自分が本当に好きで信念を持って取り込める仕事を探していたのですが、在学中にはいいアイデアが見つかりませんでした。

卒業後にインシアードの友人と食事をする機会がありました。その友人のご主人が矯正歯科医だったのですが、「3Dプリンターによって仕事がなくなるかもしれない」と話をしていて、マウスピース矯正に興味を持ちました。

そのとき、デジタルで矯正をするのは面白いと感じました。ただ、歯科医の世界は閉鎖的なところもあり、まだ消費者に認識されていない。もっとお客様に愛されるものが作れるのではないか、イノベーションの余地があるのではと興味を持ったんです。

インビザラインについての考え方

Smile teeth 山本

マウスピース矯正といえば、インビザラインが有名なので当然ご存じだと思います。インビザラインについてはどう思いますか?

ジュリアン氏

インビザラインのプロダクトとテクノロジーはすばらしく、開発した人々を尊敬しています。私自身、若いころワイヤー矯正をした経験があるので、取り外しができる点や、目立たない点などのメリットはすごくよくわかります。

お客様の満足のために、さらにオペレーションを磨き込んでいきたいと考えました。私が得意としている分野なので、アドバンテージになると感じたのです。

透明なマウスピースを使った矯正は歴史が浅いですが、アジアでは矯正の10-15%がマウスピース矯正、アメリカはおおよそ40%がマウスピースになってきています。これからアジアでも増えてくるでしょう。

他とは違うユニークなブランド名にしたかった

Smile teeth 山本

ゼニュムという名前の由来や意味はなんでしょうか?

ジュリアン氏

「Senyum」という単語があるのですが、これはマレー語で「笑顔」を指します。言葉の響きの面も考え、SをZに変えて「Zenyum」と名付けました。

「スマイル」「クリア」などの一般的な名前ではなく、インパクトがある名前になったと自負しています。

ゼニュムは発音しづらく最初は周知させるのが難しいかもしれませんが、何もないキャンパスに絵を描きこんでいくように徐々に周知させていきたいです。

ゼニュムとほかのマウスピース矯正との違い

既存のマウスピース矯正ブランドの、いいところを統合した

Smile teeth 山本

他のマウスピース矯正には負けない、ゼニュムの特徴はありますか?

ジュリアン氏

一般的なマウスピース矯正のビジネススタイルとしては、2つあると思います。1つ目は歯科医にプロダクトを売るタイプ。この場合集患はクリニックに任せられていて、ドクターがマーケティングや営業をしないといけません。ただ、このような集患や説明などは好きでなく、職人作業が好きな歯科医が多いでしょう。

2つ目は、価格を抑えてブランドを構築しメーカー主導で集患するタイプ。このようなタイプは医者を飛ばすシステムなので、トラブルやクレームが発生しやすいです。悪評も多く、やりたくありませんでした。ただ、治療を始めやすいという面もあるので、この2つのいいとこ取りをして統合したいと思ったんです。

ツールを使って患者さんへのマーケティングやセールスなどをすれば、歯科医の負担が減り価格も抑えられます。会社でしっかりと説明することで、歯科医は手間をかけず治療に集中できるのです。台湾の先生は、説明しないで済むので楽だったと言ってくれました。

マーケティングやオペレーションはゼニュムが行うので、歯科医は治療に集中できる

伊藤社長

ゼニュムは情報がインターネット上にあり、コンシューマーブランドとして認知されているので歯科医の手間がかかりません。

ジュリアン氏

マウスピース矯正をうまく進めるためには、患者さんの協力が必要です。ゼニュムにはモバイルアプリがあるので、スムーズに治療が進みます。

伊藤社長

それに加えて、日本ではサポートメンバーが患者さんと密なコミュニケーションをとっています。例えば、矯正を始めて3日目は”このメッセージを送ろう”といった形で対応しています。

普通の歯医者さんは忙しすぎるので、こういったメッセージのやり取りなどはできないでしょう。こちらで患者さんがやり続けるように働きかけているのがポイントです。

矯正医のチームが運営にかかわっている

蓄積されたデータやノウハウを活かして、治療の提案を行なっている

Smile teeth 山本

ゼニュムの運営の中に、矯正医はいますか?

ジュリアン氏

マウスピース矯正経験のある矯正医のチームが、運営側にいます。

歯科医による経験値の差はありますが、データやノウハウが蓄積されているのでゼニュムの方から治療について提案できます。

またゼニュムの内部で、定期的に歯科医向けのセミナーを開催しています。動画のトレーニングだけでなく、内部の歯科医師が各国に行ってリアルな場でのトレーニングも行っています。

Smile teeth 山本

ゼニュムは全顎矯正をやっていますか?

伊藤社長

全顎矯正と部分矯正のプランがあります。部分矯正でも小臼歯まで動かすことができ、他の会社に比べ安く提供しています。シンガポールの国の機関からセミナーの依頼ももらっており、ドクターへの教育もトップレベルの自負があります。

最初に症例を選んでいるため矯正難民などのトラブルはない

Smile teeth 山本

マウスピース矯正でかみ合わせが悪くなってしまったなどの矯正難民が出ていますが、ゼニュムではどうでしょうか?

ジュリアン氏

4年間やっていて、今のところ矯正難民などのトラブルは何もありません。歯科医の意見を聞いて、最初に症例を選択し無理にすべて受けないようにしています。

伊藤社長

患者さんの外見的なことを永久的に変えていくので、必ず治せる症例のみを受け入れるようにしています。失敗するとそこで終わってしまうので。

あとは、マウスピース矯正の場合はマウスピースをつけないことでトラブルが発生しやすいのですが、ゼニュムではサポートチームが顧客にしっかりと働きかけているということもあります。

追加治療が必要な場合、状況に応じて追加のマウスピースを無償で提供しています。枚数には制限はなく、5枚の場合もあれば15枚の場合もありますが、いずれの場合も追加治療用のマウスピース費用をいただくことはありません。

Smile teeth 山本

最初にこれは治療できないよって患者さんに言うことは、とても大切だと思います。

治療をスタートする前に、どんなことを行っていますか?

ジュリアン氏

口腔内写真と、スキャニングで判断しています。
ほとんどはスマホで判断できるのですが、ローン審査でいうところの仮審査のようなものなので本審査で断るケースもあります。

Smile teeth 山本

全顎矯正は難しいと思うのですが、すべての提携歯科医院で治療が可能でしょうか?

伊藤社長

ゼニュムのパートナーは全国に20クリニックほどありますが、全顎矯正ができるクリニックは東京、大阪の都心部がメインです。地方では全顎矯正ができず、部分矯正だけ行っているところがあります。

コンシューマーブランドを作りたい

シンガポールで一番売れている電動歯ブラシはゼニュム

Smile teeth 山本

今後の展望をお聞かせください。

ジュリアン氏

若年層を中心としたアジアの成長に、可能性を感じています。コロナ禍であってもアジアのマーケットは拡大していて、自分で稼げるようになったタイミングで矯正をしてくれています。

ゼニュムは矯正に限らずデンタルケア商品も販売していて、シンガポールで一番売れている電動歯ブラシはゼニュムです。

Smile teeth 山本

そうなんですね!

伊藤社長

僕も使っています。ただ、日本ではまだ販売されていないんです。

Smile teeth 山本

電動歯ブラシはまだ日本で販売されていないんですか。僕も早く使ってみたいです!

他社にはない挑戦をしているところがすごいですね。

ジュリアン氏

コンシューマーブランドを作りたいという強い思いがあります。ゼニュムの歯ブラシや歯磨き粉を使った人が、矯正にも興味を持ってくれればと思っています。

日本市場をアジア最大マーケットにしたい

Smile teeth 山本

日本市場の特徴や、日本の展望についてはどうでしょうか?

ジュリアン氏

日本のマーケットに敬意を持っています。日本人はドイツ人と似て、細かいところにこだわるところがあり難しさは感じます。ほかのアジアの国々との違いはありますが、今までの経験を活かしていけば、いいものを提供できる自信がゼニュムにはあります。

Smile teeth 山本

では最後に、伊藤社長へのメッセージをお願いします。

ジュリアン氏

日本をアジア最大のマーケットにしてほしいですね。

Smile teeth 山本

本日は、お忙しいところありがとうございました。

ゼニュムで矯正治療を始めてみませんか?


歯列矯正をお考えの方に、ゼニュムでの治療をおすすめします。ゼニュムには5つの特徴があります。

  • 透明なマウスピースだから目立たない
  • 通院は最少3回
  • 料金プランは3種類で、追加費用はなし
  • オンライン診療が無料
  • アプリと専任カウンセラーが治療をサポート

※治療には個人差があります。

透明なマウスピースだから目立たない

ゼニュムは、透明なマウスピースを使用しているので目立たず治療できます。ワイヤー矯正は装置が目立つため、治療を躊躇していた方もマウスピース矯正であれば見た目的には気にならないでしょう。さらに、マウスピースは自分で簡単に取り外せるため、食事や歯磨きが普段通りにできます。

※1日20時間以上の装着が必要です。

通院は最少3回

ゼニュムのマウスピース矯正は、最少3回の通院で理想的な歯並びが実現します。何度も通院したり、予約を取ったりする煩わしさから解放されるのが特徴です。

料金プランは3種類で、追加費用は一切なし

ゼニュムには部分矯正と全顎矯正のプランがあり、料金は3種類です。部分矯正プランは32万4,500円(税込)、全顎矯正プランは57万5,000円(税込)と66万円(税込)です。

リーズナブルな料金で、追加費用のないわかりやすい料金プランです。

※別途、精密検査費用が約20,000円かかります。(クリニックによって金額は異なります)
※追加治療時の再スキャンや、治療終了後のリテーナーに関しては別途費用が発生します。

オンライン診療が無料

ゼニュムでは、治療開始前に無料オンライン診断が可能です。自分で撮った写真を送ることによって、ゼニュムで治療可能かを診断してもらえます。

無料オンライン診療でゼニュムでのマウスピース矯正が可能と診断されると、近くの提携クリニックを紹介してもらえます。

アプリと専任カウンセラーが治療をサポート

矯正治療中は、ゼニュムの専用アプリが治療をサポートします。専任カウンセラーに、治療に関する疑問をいつでも相談できます。

ゼニュムに興味を持った方は、ぜひ以下の公式HPから無料診断をお申し込みください。

ゼニュム公式HPはこちら

今回取材にご協力いただいたのは?


写真左からご紹介

大沼麻柚子(おおぬま まゆこ)
おおぬま歯科クリニック 歯科矯正医。1996年4月 日本大学 歯学部 学部助手の経験を経て、平成9年に「のぶしま矯正歯科」に勤務。
その後アメリカにわたり、平成11年よりジョージア州オーガスタにあるDr. T. Barret Trotter Orthodontic Office へ勤務。2011年には埼玉県川口市の「おおぬま歯科クリニック」にて、矯正歯科医として勤務している。
今回のインタビューでは、矯正歯科医の視点からの協力、通訳を務めています。
伊藤 祐(いとう たすく)
Zenym Japan(ゼニュム・ジャパン)社長兼最高経営責任者(CEO)。慶應義塾経済学部卒業。
2011年アクセンチュアへ入社し、フロスト・アンド・サリバン・ジャパン、OYO JAPANを経て、2021年よりZenym Japan(ゼニュム・ジャパン)日本法人代表として尽力している。
Julian Artope(ジュリアン・アルトぺ)
Zenyum(ゼニュム、シンガポール)創業者。
ドイツ出身。EBSビジネス大学法学部卒業の2007年より、多くのテック企業を立ち上げる。その後イギリスの電子商取引決済プラットフォームのスクリルなどの役員を歴任し、2018年に共同創業者のフレデリック・クラスらとZenyum(ゼニュム、シンガポール)を立ち上げた。
山本 伸彦(やまもと のぶひこ)
デンタルネットワーク株式会社 代表取締役。歯科医師。
1995年 明海大学歯学部卒業後、港区南青山 医療法人社団友歯会 ユーデンタルクリニックに勤務。1999年より世田谷区弦巻にて「やまもと歯科」を開設し、同院の院長として20年以上にわたり地域医療に携わっている。2018年12月にはデンタルネットワーク株式会社を設立し、代表取締役に就任。歯科情報サイト「Smile Teeth」を運営中。