デンタルフロスでより健康な歯に!正しい使い方や注意点を解説。

厚生労働省の歯科疾患実態調査によると、デンタルフロスや歯間ブラシなどの補助的清掃用具を使用し、歯間部の清掃を行っている人は全体の約30%です。
年々使用する人は増加傾向にあるものの、いまだに日常的に使用している人は少ないのが現状です。

デンタルフロスは歯磨きだけで落とせない歯垢を効果的に落とせます。
しかし、「デンタルフロスを使うとすきっ歯にならない?」「被せが取れそうで怖い」など不安な方も多いのではないでしょうか。

虫歯や歯周病などの口腔内の疾患を予防するには、デンタルフロスなど補助清掃用具は欠かせないものです。
しかし、自身に合っていないものを選択したり使用方法を間違ってしまったりすると、効果は半減または悪化する可能性もあります。

デンタルフロスの正しい選び方や適切な使い方が分からない方に、失敗しない選び方や使用方法を解説いたします。

デンタルフロスとは


デンタルフロスとは、細いナイロン繊維の束でできた補助的清掃用具です。
一般的には「フロス」と呼ばれ、デンタルフロスを使用した清掃を「フロッシング」と言います。

デンタルフロスは繊維の束でてきているため、歯ブラシで取り除くことができなかった歯垢を効率良く落とせます。

歯磨きで落とせる歯垢は全体の約60%と言われており、毎日歯ブラシのみの歯磨きだけでは虫歯や歯周病を予防できないのはこのためです。
そこにフロスや歯間ブラシなどの補助的清掃用具を追加すると約90%まで除去率が上がります。

歯垢とは、食べ物の残りカスが歯の表面に付着し、細菌が繁殖したものを言います。

特に歯ブラシでは取り除けない歯間部(歯と歯の間)や歯頚部(歯と歯茎の境目)に溜まりやすく、その細菌の中には虫歯や歯周病の原因菌も存在するため、長時間滞留すると口腔内の環境を悪化させてしまいます。

また時間の経過と共に粘性を増していく傾向があるため、唾液の自浄作用やうがいだけでは落とせないほど歯面にしつこく付着します。
このため、歯ブラシや補助的清掃用具で機械的に擦り取る必要があるのです。

歯並びが悪く、歯間に物が詰まりやすい方や矯正治療中の方、ブリッジやインプラントが口腔内にある場合、歯垢の温床となる隙間が存在しやすくまた自浄作用が行き渡りにくいため特に注意が必要です。

矯正治療中の虫歯治療は装置を全て外さなければならない可能性が出てきますし、ブリッジでは再治療、インプラントにおいては虫歯にはなりませんが歯周病に感染すると「インプラント周囲炎」に罹り、場合によってはインプラント本体を撤去しなければならない場合もあります。

歯ブラシを用いたブラッシングと併用し、歯垢を落とすことは単なるエチケットではなく、虫歯や歯周病を予防・改善するためにとても重要な役割を果たします。

形状による違い


デンタルフロスは形状により、糸巻きタイプホルダータイプに大きく分けられます。
それぞれの特徴や使用方法を確認しましょう。

糸巻きタイプ

フロスを糸巻きで束ねたものを言います。「ホールタイプ」や「ロールタイプ」と呼ばれることもあります。

使用のたびにフロスを必要な長さに切り取り、指に巻いて使用します。ホルダータイプよりも一回あたりの費用が抑えられるため経済的です。
また、フロッシングする際に歯垢が付着した面を使い続けることなく、巻き取りながら使用できるため、清掃能力が落ちることなく使用できます。

糸の種類も選べるので、自身にあったものを選びましょう。

使い方

デンタルフロスを約40cm(手から腕の長さ程度)の長さに切り、両端を両手の中指に巻きつけ、約15cm(手の指を広げたときの親指から小指の先程度)の長さにします。

その後、両手の親指と人差し指でデンタルフロスをつまみ、歯と歯の間にデンタルフロスの糸の部分を当てます。そして、ゆっくりとのこぎりを引くように歯間部に挿入します。

手前の歯の歯茎の中にデンタルフロスが隠れるくらいまで入れ込み、歯の面に合わせながら上下にフロスを動かし歯垢を除去します。

その後、反対側の歯の側面も同じようにフロスを動かします。
小さくのこぎりのように動かしながら引き出す、または片手をデンタルフロスから離し、横から引き抜くことも可能です。被せが入っている場所や歯間が狭い場所に有効な方法です。

注意事項として、力を入れすぎるとフロスが強く歯肉にぶつかり、傷付けてしまう可能性があります。

歯茎が腫れていると出血しやすくなりますが、継続していくことで徐々に出血は減少します。しかし歯茎の痛みが続く場合や、流れるような出血があるなどは歯周病の疑いまたは歯茎を傷付けてしまっている可能性が高いため、歯科医院にて相談することをおすすめします。

ホルダータイプ

プラスチックの持ち手と繊維の束でできており、持ち手の部分の形状からF型とY型に分類されます。

F型は下の前歯の歯間に使いやすく、Y型は上の前歯と奥歯の歯間に使いやすい設計です。
歯並びは個人差があるため、まずは使いやすい形状を使用してみましょう。

使い方

ホルダー部分を持ち、歯と歯の間にデンタルフロスの糸の部分を当て、ゆっくりとのこぎりを引くように歯間部に挿入します。
歯の面に合わせながら上下に動かし歯垢を取り除き、小さく動かしながら取り出します。

糸巻きタイプと同様に、力を入れすぎるとデンタルフロスが強く歯肉にぶつかり歯茎を傷付けてしまう可能性があるので注意が必要です。

力のコントロールが難しい場合は、できる限り糸の近く(ホルダーのつけ根付近)を持つことをおすすめします。

またデンタルフロスが引っかかって歯間部から引き抜けない場合、無理に引き抜かずハサミなどを使用し糸の部分を切りましょう。
無理に引っ張ると歯間にほつれた糸が残留し違和感が出てしまうことや、被せが取れてしまう可能性もあります。

万が一デンタルフロスが引っかかってしまった場合や、被せが取れてしまったときは、歯科医院にて相談しましょう。

糸の種類による違い

糸巻きタイプのデンタルフロスは、糸の種類により、ワックス、ノンワックス、エクスパンドの3種類に大きく分けられます。

ワックス

歯の間にフロスが入りやすくなるよう、繊維にワックスを塗布したものです。
特徴として繊維の束がほつれにくく、滑りが良いです。

デンタルフロスに慣れていない人は、ワックスを使ったものから始めるとフロッシングしやすいです。
しかし、ノンワックスタイプに比べ汚れを絡め取る能力が低いことや、ワックスの種類によっては指に巻いた時に少し滑りやすいものがあります。
フロッシングに慣れたら、ノンワックスタイプへ移行することをおすすめします。

その他ミントなどの香り付きのワックスタイプもあり、使用後の爽快感をアップしたい方におすすめです。

ノンワックス

繊維にワックスを塗布していないものであり、プラークを除去する効果はワックスタイプよりも高く効果的です。
しかし、慣れていない場合や被せ物が多く入っているなどは歯間にひっかかりやすいため注意が必要です。

フロッシングに慣れてきたら、ワックスを使ったものから使っていないノンワックスに移行していくとをおすすめします。

エクスパンド

ワックス、ノンワックスタイプよりも歯垢を除去する効果が高く、唾液や摩擦により繊維がスポンジのように膨らむ特徴があるため、「スポンジ状フロス」と呼ばれることもあります。

膨らむと糸が太くなることで、歯と歯の間に上手く入らないこともあります。
使用時きついと感じる場合は無理に使用せず、自身にあった太さのフロスに変更しましょう。

ワックスタイプやノンワックスタイプを使用した後の仕上げとして使用するのが望ましいです。

デンタルフロスの補助器具「フロススレッダー」


ブリッジや矯正装置の着用などにより、デンタルフロスが歯と歯の間に入らない場合に使用するフロススレッダー(誘導針)という補助器具があります。裁縫でいう糸通しのようなものです。

使用方法は、はじめにフロススレッダーを歯と歯の間に差し込み、次にフロススレッダーの輪っかの部分にフロスを通します。そして最後にフロススレッダーを引き抜き、フロス部分を歯面に当て歯垢を除去します。この動作を繰り返し使用します。

まれに、「フロススレイダー」と呼ばれることもありますが使用方法は同じです。

その他にも「スーパーフロス」というフロススレッダーとエクスパンドのデンタルフロスが一体化したというものもあります。

インプラント用やブリッジポンティック底部用など種類があり歯間が広い部位やブリッジの仮歯部分には効果的に使用できます。

フロススレッダーとの大きなちがいとして、スーパーフロスは使い捨のため、口腔内の状態により使い分けるようにしましょう。

デンタルフロスの注意点

デンタルフロスは歯垢の除去に効果的ですが、使用方法には注意すべき点もあるので解説します。

虫歯などのチェックへの活用

フロッシング中、歯と歯の間の部分でデンタルフロスが引っ掛かったりほつれたりする場合は、虫歯ができている可能性や歯石の付着が疑われます。また、デンタルフロスを引き抜いたときに痛みが出る場合も同様です。

違和感を感じたら、歯科医院にてレントゲンでの確認をしてもらいましょう。

使用に適した年齢

市販されている子供用デンタルフロスは、2歳からのものが多いですが、一部1歳半から使用できるものもあります。
商品ごとの説明書をよく確認しましょう。

子供の虫歯予防にもデンタルフロスは効果的であり、基本はホルダータイプを使用します。小学校低学年や自分で上手にできない子は、保護者が代わりに仕上げでフロッシングを行いましょう。小学校中学年くらいになると、自分でできるようになります。

子供は歯茎がとてもやわらかく繊細なので、傷付けないよう注意が必要です。

手入れと交換の時期

使い捨てタイプと、洗って再度使用可能なタイプがあります。
糸巻きタイプは再使用できません。ホルダータイプは再度使用可能なタイプもあります。

手入れの仕方は商品の説明書を確認し、それに従うようにしましょう。
しかし、繊維が毛羽立ってくる場合は新しいものに交換しましょう。

フロッシングの頻度とタイミング

フロッシングのタイミングとして、1日1回は行うことが望ましいです。

順番は、歯ブラシでブラッシングを行なった後にデンタルフロスを用いてのフロッシングが一般的ですが、虫歯予防の観点から考えるとフロッシング後の歯ブラシが推奨されるケースもあります。

理由として、歯磨き後にフロッシングを行なった場合に歯垢が歯面に再度付着してしまう場合があります。その時にまたうがいをしてしまうと、歯磨きの際に使用した歯磨き粉に含まれる成分が口腔外へ流れ出てしまいます。

毎日フロッシングを行うことで歯面や口腔内の細菌量を減少させることと同時に、歯磨き粉に含まれる薬用成分の効果を最大限に発揮するためにも、臨機応変にフロッシングを取り入れましょう。

そのためには自身のリスクを知る必要性があります。
正しい診断はかかりつけの歯科医院にて歯科医師、または歯科衛生士に相談してみましょう。

まとめ

デンタルフロスは、歯と歯の間に溜まる歯垢を効率的に除去する補助的清掃用具です。
形状により、糸巻きタイプとホルダータイプがあり、糸巻きタイプは糸の種類により、ワックス、ノンワックス、エクスパンドがあります。

それぞれのメリット・デメリットがありますが、日々のフロッシングを習慣化することが最も重要です。
その中で、誤った方法でフロッシングを行うと歯肉退縮などの弊害や、被せが取れてしまう可能性があるので、事前に正しい使用方法とフロスの選択を歯科医院にて指導を受けましょう。

口腔内の状態は個人差がとても大きいです。
まずは自身の口腔内の状態を知り、その上でホームケア時にデンタルフロスを使用することで、虫歯や歯周病のセルフチェックにも繋がるため、毎日のホームケアの中で違和感が無いかを確認することが望ましいです。

しかし、虫歯や歯周病は見た目だけでは判断できないことが多く歯科医院にて定期的にレントゲンで診断してもらうことや、歯垢や歯石の付着が無いかを確認してもらうことで口腔内の健康を維持することができます。