口臭と病気の関係性とは?病気のサインとなる口臭について徹底解説!

全身疾患や口腔内・口腔周辺の病気が原因となり、口臭が発生する可能性があり、これを「病的口臭」と言います。口臭を引き起こす病気の種類、臭いの違い、口臭の改善方法などについて徹底解説いたします。

この記事の結論

・口腔内の病気による口臭は虫歯、歯周病、舌苔などが挙げられる

・全身疾患による口臭は、口の中でなく呼気から発生する

・全身疾患を患っている方は医科で治療を行い、口腔内の病気が原因の方は歯科医院で治療を行う

病気のサインとなる口臭の臭い


口臭に含まれる臭いの成分は20種類ほどあり、様々な成分が混合して不快な臭いとなります。特に以下のような臭いがある場合は、病気のサインの可能性があります。

  • 果物が腐ったような甘酸っぱい臭い(アセトン臭)
  • 腐った卵のような臭い(硫化水素)
  • 腐った肉のような臭い
  • 腐った野菜や魚のような臭い(メチルメルカプタン)
  • アンモニア臭

果物が腐ったような甘酸っぱい臭い(アセトン臭)

糖尿病や間違ったダイエットによって、甘酸っぱい臭いがします。

糖尿病では膵臓で作られるインスリンの量が不足し、肝臓で大量に作られたアセトンが血液の中に溢れて臭います。

また、間違ったダイエットで炭水化物やたんぱく質が不足すると、中性脂肪が燃焼して脂肪酸になるため臭います。

腐った卵のような臭い(硫化水素)

胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍などの胃腸系の病気は卵の腐ったような臭いがします。

これは消化不良により、食べ物が胃の中で異常発酵するためです。

腐った肉のような臭い

副鼻腔炎、鼻炎、扁桃腺炎や、肺炎、気管支炎などに罹っていると、肉が腐ったような臭いがします。

これはたんぱく質を含んだ膿が、鼻と口を通して臭います。

腐った野菜や魚のような臭い(メチルメルカプタン)

歯周病などの口腔内の病気は腐った野菜や魚のような臭いがします。

特に歯周病による細菌が発生する臭いは、強いもので周囲の人を不快にさせる可能性があります。

魚の腐ったような臭い

トリメチルアミン尿症(魚臭症)、肝機能低下は魚の腐った臭いがします。

前者はトリメチルアミンという物質を無臭化できない疾患で、後者は本来肝臓で分解される臭い物質が分解しきれずに血液に取り込まれて口臭に現れます。

アンモニア臭

尿毒症、腎機能低下、肝機能低下はアンモニア臭がします。

口臭だけでなく全身からも臭うことがあり、アンモニア臭がする前はカビ臭くなることもあります。
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病気による口臭の種類


病的口臭には、口腔内の病気による口臭と、口以外の病気による口臭があります。特に、歯周病と口臭には高い相関性があります。

口腔内の病気による口臭

歯周病・虫歯・舌苔などによる口臭です。歯科医院で治療を行うことで改善できます。

  • 歯周病
  • 歯垢や歯石
  • 虫歯
  • 舌苔(ぜったい)
  • プラスチックの人工歯
  • 金属の冠
  • 口腔ガン
  • ドライマウス

歯周病

歯周病に罹患すると、歯周病菌が出す物質により口臭を発生させることがあります。さらに歯周病が進行すると歯茎からの出血に膿が混じるようになり、口臭が酷くなります。

これは歯周病菌が出すメチルメルカプタンと呼ばれる物質によるもので、 この物質は強い臭気を放ち、歯周病の悪化を助長させます。

歯垢や歯石

歯垢や歯石が沈着してると口臭を発生させることがあります。歯垢(プラーク)は、食べ物のかすやそれを栄養とする細菌の代謝物の塊のことで、歯石は歯垢が固まったものです。また、磨き残しがあると、食物のカスが腐敗して臭いを発することがあります。

虫歯

虫歯が進行して神経が腐ったり、虫歯によってできた空洞に食べ物が入り腐敗すると強烈な臭いが発生します。

通常この段階の虫歯になると歯に激痛が走るといった症状が出ます。多くの方は歯科医院を受診し、治療を受けると口臭は軽減するため長く続くことはありません。

舌苔(ぜったい)

お口の粘膜から剥がれ落ちた細胞が舌の表面に付着したものを舌苔(ぜったい)といいます。口の中にいる細菌が舌苔を分解するときに口臭を発生させます。

加齢とともに唾液量が減ったり流動食を続けていたりすると、舌苔が溜まりやすく口臭も発生しやすいです。

舌苔は舌ブラシや柔らかい歯ブラシで除去できるので、毎日の歯磨きのときに舌のお手入れもすると良いでしょう。

プラスチックの人工歯

義歯やプラスチックの詰め物や被せ物は臭いを吸着する素材のため、口臭の原因となることがあります。

プラスチックという性質上、着いた臭いは取れません。毎日のお手入れを怠らず、定期的に歯科医院でクリーニングを受けて、臭いが定着しないようにすると予防につながります。

金属の冠

被せた銀歯が歯と合っていないと隙間に汚れが溜まり、口臭の原因となります。

被せた銀歯が合わなくなる原因には、かみしめる癖があります。また、歯肉退縮などで被せ物と歯茎のラインが合わなくなることもあります。

口腔がん

舌がん、頬粘膜がんなどは口臭の原因になることがあります。

口腔がんは喫煙者に罹りやすい傾向があり、口臭を悪化させる原因にもなります。 これはタバコに含まれているニコチンやタールが原因で、歯垢や歯石に付着して臭いを発生させます。

ドライマウス

常に口の中が乾燥していると、お口の中の菌が繁殖しやすい環境を作り口臭を発生させます。

これは唾液の洗浄作用、抗菌作用、緩衝作用といった自浄作用が低下するためです。結果として歯周病や虫歯になりやすく、口臭も発生しやすくなります。

全身の病気による口臭


全身疾患により体内で生じた臭い成分が血液に取り込まれて、肺のガス交換によって口から排出されることで口臭がします。口臭を発生する病気は以下の通りです。

  • 喉や鼻の病気
  • 呼吸器系の病気
  • 消化器系の病気
  • 糖尿病
  • 肝硬変、肝臓がん
  • トリメチルアミン尿症

喉や鼻の病気

扁桃炎、咽後膿瘍、咽頭がんは口臭を発生させることが多いです。

鼻や喉は口と繋がっており、炎症があると口の中に血液や膿が出て、これらが呼気と混じり口臭が発生します。

呼吸器系の病気

肺がん、肺気腫、肺腫瘍、気管支炎、肺のカンジダ感染といった呼吸器系の病気は口臭を発生することがあります。

これらの口臭は、原因となる病気を治療することで軽減されます。

消化器系の病気

胃がん、胃炎などの消化器系の病気は口臭を発生させやすい傾向にあります。

これらの病気によって消化器の機能が低下すると、食べ物が胃の中に停滞して腐敗し、身体に吸収されることで息が臭くなります。

糖尿病

糖尿病に罹患すると甘酸っぱい口臭がすることがあります。さらに唾液の分泌量も減少するため、口臭が強くなります。

肝硬変、肝臓がん

肝硬変や肝臓がんにより肝機能が低下すると、体にある毒素や臭い物質を押さえる働きが低下します。さまざまな臭い物質が分解されないまま肺に運ばれるため、口臭がします。

この場合、血液中に分解されなかったアンモニアが増え、尿のような臭いがするのが特徴です。

トリメチルアミン尿症

魚の腐ったような臭いのトリメチルアミンという物質を無臭化できない疾患で、生臭い臭いが息や汗から排出されます。

世界でも症例が少ない病気であり、根本的な治療方法はありません。対症療法として、トリメチルアミンを発生させる物質の摂取を制限することで、口臭を軽減します。

薬の副作用

薬を服用している場合、副作用で唾液の分泌量が減って口の中が乾燥し、口臭が発生することがあります。

唾液の量が減る副作用がある薬には抗うつ薬、鎮痛剤、降圧剤などがあります。

病気による口臭の治療方法


口臭の原因によって治療方法が異なります。病的な口臭は単一の原因で起こるのが珍しく、唾液の分泌量を増やすと大幅に改善されることがあります。

口腔内が原因の口臭

虫歯、歯周病などの口腔内の病気による口臭は、歯科医院で治療を受けることで改善します。

定期的にプロによる歯のクリーニング(PMTC)を受けると、口臭予防に効果があります。

自宅では歯磨きや口臭抑制剤、マウスウォッシュなどを用いて口腔ケアを行うと良いでしょう。

全身の病気が原因の口臭

病気を治療することによって、口臭が改善される可能性があります。医科を受診して治療しましょう。特に、口臭とともに体調不良などがあれば、医科を受診するのがおすすめです。

服薬によるドライマウスが原因の場合には、服用薬剤の変更をかかりつけ医に相談したり、唾液の分泌量を増やしたりすると口臭が軽減する可能性があります。

唾液の分泌を促すには、唾液腺のあるこめかみの辺りを手でマッサージすると、一時的ではありますが唾液の分泌量が増えます。

また、唾液分泌作用のある薬剤の使用、人工唾液の使用(サリベート)を選択する方法もあります。そのほか、市販の保湿成分配合のマウスウォッシュやミストもおすすめです。

生活習慣の改善や、食事改善を行うことも大切です。普段から水分補給を心がけたり、シュガーレスガムを口の中に入れ、だらだらとかんで刺激し唾液の分泌量を増やしたりすると良いです。
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病気が原因の口臭は原因に応じて対処しましょう


全身疾患を患っている方は医科で治療を行い、口腔内の病気が原因の方は歯科医院で治療を行いましょう。口臭外来なら原因の特定と歯科治療から医科、精神的ケアまで含めた口臭改善のプランを提案してもらえるためおすすめです。

口臭の原因の90パーセントは、口腔内の問題といわれています。頑張り過ぎたりストレスを感じると唾液の分泌が抑えられ、口臭が発生しやすいです。口臭に悩み、ストレスを感じ過ぎないことも大切です。

セルフチェックにおすすめな口臭チェッカー


口臭外来に行く前に口臭の有無や臭いのレベルをセルフチェックしたい方は、精度は劣りますが市販の口臭チェッカーで確認できます。

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