マウスピース矯正の役割とスマイルトゥルー|土屋先生とSmile Teeth 山本のスペシャル対談

今回は、アメリカ発のマウスピース型矯正装置「SmileTRU(スマイルトゥルー)」の公認インストラクターであり症例数No.1の土屋 新太郎先生(以下、土屋先生)と、Smile Teethを運営するデンタルネットワーク株式会社 代表取締役であり歯科医師の山本伸彦(以下、Smile Teeth 山本)が、スマイルトゥルーの特徴や、土屋先生とスマイルトゥルーとの出会いなどについて語り合いました。

土屋先生とマウスピース矯正・スマイルトゥルーとの出会い

歯医者に対するイメージを変えたドクター

Smile Teeth 山本

今日は土屋先生のリアルなお話、スマイルトゥルーは実際のところどうなのか、また、土屋先生ご自身の経歴についてお話をお伺いします。僕はもともと歯医者に対するイメージがあまりよくなかったのですが、それを土屋先生が覆した。僕のドクターに対するイメージが変わるきっかかになったドクターです。

土屋先生

本当ですか?!よろしくお願いします。

口腔外科から始めたが、歯を治したいという思いが強くなった

Smile Teeth 山本

土屋先生は口腔外科から始めたんですよね?

土屋先生

はい。口腔外科から始めましたが、歯を抜かないといけない症例が多く、だんだん歯を治したいという思いが強くなっていきました。

歯並びは口腔内の健康に非常に重要なポイントです。しかし、矯正をするには自分のスキルが足りないと感じていました。歯並びを一つ間違えると、口全体の破壊行為になると思っていたんです。

最初はマウスピースで歯が動くのか疑っていた

土屋先生

勤務医のときに日本にスマイルトゥルーが入ってきたという情報を知り、自分で試してみたいと思いました。

正直、最初はマウスピースで歯が動くのか懐疑的でした。患者さんのニーズは大きかったのですが、マウスピースでは大臼歯を動かすことは容易なことではない、などの現実も知らされました。

僕は開業して3ヵ月ほどでスマイルトゥルーを知ったことも大きいです。ワイヤー矯正は矯正医に教えてもらうことができましたが、マウスピース矯正はまだ情報が少なかったので、もっと知りたいと思ったんです。

スマイルトゥルーは患者さんに自信を持って提供できる

土屋先生

スマイルトゥルー創始者のスキップ先生は、マウスピース矯正ではなく一般の矯正をやっていた先生なので、一般的な矯正治療の考え方に基づいていると感じました。ただ歯を並べるのではない、口腔機能をちゃんと考えている先生だと思ったんです。

実際にやってみてマウスピースで歯が動いたときは自信が持てました。この治療だったら患者さんに自信を持って提供できると感じたんです。

まだできない症例もありますが、できないものはできないと断るところにも感動しました。私が30代で医院の体制などを大きく変えて、思い切って飛び込んだ世界で学びながら臨床もする日々、スマイルトゥルーは僕の矯正の入口です。

GP(一般臨床歯科医師)が矯正を行うことの価値

Smile Teeth 山本

口腔外科の先生が矯正を行うのは難しいなかで、GP(一般臨床歯科医師)の人が矯正を行うことの価値にはどのようなものがありますか?

土屋先生

一般の患者さんは矯正の敷居が高いですが、歯並びにちょっとした悩みを持っている人はかなりいます。 GP(一般臨床歯科医師)が矯正を行うことで、そういった方の背中を押してあげるようなことができるといいですね。

一般開業医の立場で話すことで、矯正医に話しにくいことを信頼を持って気軽に相談してくれます。例えば口腔がん検診に興味を持つ方が増えてきたのですが、一般開業医になら気軽に気になる点を相談してくれるので、問題があれば信頼のおけるドクターに紹介してあげることができます。

売れるためのマウスピース矯正が増えている

経営を考えすぎ、治療のクオリティを下げている先生が多い

土屋先生

はっきり言うと、歯科医院の中には経営を考えすぎている先生が多いです。もちろんビジネスというのは分かりますが、僕たちは患者さんを救いたいという思いで医療業界に入って来ているはずなんですよね。僕は開業医の先生に言いたいのですが、お金を稼ぎたいなら歯科医じゃなくほかの仕事をしたらいいと。

マウスピース矯正を手法として取り入れている先生の割合は、10人いたら2~3割だと思います。7割は保険診療だけでは歯科医院の経営が厳いから、とりあえず導入していると感じています。

Smile Teeth 山本

はい。

土屋先生

実は、それが患者さんにも伝わっている可能性があります。いろいろなマウスピース矯正のシステムが先生に売ってもらうためのものになっていて、ビジネスライクなマウスピース矯正が多く、安易に手を出したことによるトラブルが増えています。

昔の方が倫理感があったと思うんですよ。昔は本当に歯が動くのが分からないので、みんな安易に手を出さなかったです。

今は市場も広がりメーカも増えて、値段合戦です。どんどん広がっていき、今後はクオリティ無視の競争になることが懸念されます。このままだと、市場に出回るマウスピース矯正が治療のクオリティを下げる可能性があると個人的に思います。

Smile Teeth 山本

私もそう感じています。

SNSの情報は偏っている

Smile Teeth 山本

現状の問題として、若者の中でSNSが情報源になっていますが、マーケティング重視であり情報は偏っていると感じています。本当に患者さんに必要な治療なのか、患者さんのニーズに沿っているかどうかが疑問です。また、ドクターを炊きつける業者も僕はNGだと思っています。

以前は「〇〇先生が言うならやる」という患者さんが多かったのですが、その関係性は変わってきていますね。

僕は歯医者で信用できる人はあんまりいないと思っていたのですが、土屋先生のように患者さんのことを考えている先生に出会ってそれが覆されました。自費と保険診療の境目は意識していませんが、やることはしっかりやる、そのような先生をこれからも発掘して、スマイルティースで中立的な立場で情報を届けたいと考えています。

スマイルトゥルーの特徴

診断基準はシビアだけれど、安心できるシステム

Smile Teeth 山本

スマイルトゥルーの症例数No.1の土屋先生が感じている特徴は?

土屋先生

スマイルトゥルーの診断基準はシビアです。一般的にマウスピースで矯正できなくはないが、おすすめはしないという症例は、メーカーならビジネスとしては受けてしまいますが、スマイルトゥルーはマウスピース矯正に向かない症例ははっきりと言ってくれるメーカーです。

スマイルトゥルーは現場との連携が強く、診断基準をしっかり持っていることが、安心できるシステムに繋がっています。

患者さんが「絶対マウスピース矯正で」と言っても、思い込みのこともあります。専門的な立場から判断し、患者さんのことを思ってほかの矯正方法をおすすめすることもありますが、僕はそれが安心できるシステムだと感じています。

Smile Teeth 山本

歯が思い通りに動かないことは?

土屋先生

治療が進ごとに歯並びが100点に近づいていく加点制のワイヤー矯正と違い、マウスピース矯正は基本的に減点制です。

始めに設計した100点の歯並びがあり、マウスピースの使い方や歯の動きやすさなどの影響を受けて、完成した歯並びが100点中何点になるか、という感じで減っていくシステムです。100点に近づけるには、いかにして1枚1枚のマウスピースの交換を慎重にしていくかがポイントだと思います。

実際に思い通りにいかなくても、次を急がないことが大事です。歯が計画通りに動かない原因はいつも異なりますので、個人差があることを理解する必要があります。

また、マウスピースは1日20時間以上着けてほしいですが、単純にそれよりも長い時間着ければいいというわけではないです。歯にかかる力を休ませる時間も必要です。

何を目標とするかを患者さんと話し合うことが大切

土屋先生

矯正治療をする方は、コンプレックスを抱いていることがあり、治療の途中で鬱になることもあると考えています。そのため、説明の仕方に気を付け、カウンセリングを大切にしています。まず何を目標とするかをよく話し合うようにしています。

最近コロナ禍でストレスを溜めている方が多く、食いしばりをしている方が増えています。カウンセリングを丁寧に行い、痛みやトラブルの原因を把握することが大切だと感じています。

費用や期間にこだわりすぎるとクオリティが下がる

土屋先生

期間と費用については正直難しいので「春ごろを目安に」のようにざっくりした伝え方にしています。期間にこだわりすぎると、仕上がりのクオリティが下がるからです。

費用については「リーズナブル」というのは違うと思います。患者さんは失敗したくないと考えている方が多く、かなり調べて遠くから来る患者さんもいます。

特に女性は、格安と言われたのに高くなった経験を脱毛やエステなどでした方が多いようで、「安い」と言われても最終的にかなりお金がかかることがあると理解されている方が多いです。

また歯科技工所を経営して気が付いたんですが、デジタル技術を取り入れても思った以上に時間がかかるんです。コストを下げすぎると人の目が入りきらないですし、人件費を下げて経験値が低いスタッフがマウスピースを作ると、歯が動かなくなることもあると思います。

僕はやり直しをしたことがないのですが、思い通りに矯正が進まないときは、よく状況を見るとだいたい答えがあります。急がずに処置を施せば歯は動くことを、多くの患者さんから学ばせてもらって今に至っています。

スマイルトゥルーが優れているポイント

Smile Teeth 山本

スマイルトゥルーが優れているポイントは?

土屋先生

まず、現場の意見をメーカーが率直に聞いてくれます。臨床であったことなど、いろいろなディスカッションをすると、患者様第一で迅速に対応してくれるんです。対応の早さが非常にありがたいと思っています。

咬合精度が高い点も素晴らしいです。世界で提供されているメーカーの咬合精度はどうなのかと疑問を感じて、学会で知り合った先生に聞き、アライナー矯正の難しさを感じました。

スマイルトゥルーは大臼歯を動かさないため、敷居を分けていることで患者さんにとって安心なのでは?と感じました。

インストラクターとしての考え

土屋先生

インストラクターとして命名を受けたときの使命感は強く感じました。セミナーも受けましたが、アメリカ人とアジア人では歯の根の構造や歯の動きなどが違うため、日本人に合った治療を自分自身で探求していきました。

より日本人に最適化した方法やスパイスが加えられるのではないかと思い、アメリカのスマイルトゥルーの創始者とコンタクトを取って、臨床であったことをやり取りし、ずれが無いようにしています。

患者さんからは命の恩人と言われたことがあります。歯並びがよくなり長生きできると言われ、嬉しかったです。最近は、喜んでくれた患者さんが患者さんを連れて来てくれることが多いです。マウスピース矯正を断った患者さんにも、はっきり言ってもらって嬉しかったと言われました。

また、スマイルトゥルーは矯正ツールのひとつとして素晴らしいのですが、歯科医が全員同じレベルでスマイルトゥルーを使えるとは考えてはいません。僕は講師として全員を最低でも合格ラインになるよう指導し、歯科医からの相談も受けたいと考えています。

Smile Teeth 山本

そう思います。実際、患者さんから見てですが、歯医者さんのレベルにはものすごく差があり、今度の問題だと思います。

今後は歯医者さんへの関わり方が変わっていくので、本当にいいものを伝える力を誰かが持たないといけないと思うんです。

患者さんや一般の方に伝えたいこと

患者さんに伝えたいことは?

土屋先生

口の中で少しでも気になったことがあれば、すぐに歯医者に相談することが好ましいです。最低でも1年に1〜2回は行ってみて欲しいですね。

「歯医者が痛い怖い」というイメージは昔のもので、今はだいぶ変わりました。歯のお掃除をするだけでもスッキリして幸せ度が上がると思います。歯医者だけでなく、企業努力をしないところは淘汰されていくものだと思いますから、実績のある歯医者であれば安心して相談に行ってみてください。

歯医者の選び方・歯医者を見極めるポイント

土屋先生

初めての歯医者さんに行く場合は、まずはクリーニングに行ってください。クリーニングであれば、問題が起こることはないです。

急性症状がないのに最初から歯を削ろうとする歯医者は要注意です。不信感があればほかの歯医者に行くこともできます。

初めはカウンセリングを受けてしっかり話を聞いて、この先生にお願いしたいと思ったら処置をお願いするとよいです。最終的には人間同士の信頼関係ですね。